2022-11-07

2022年10月、株式会社西尾硝子鏡工業所の西尾社長の元を訪れた。
同社は社名の通りガラスや鏡に特化したメーカーだ。手作業による高精度な加工技術は、ハイブランド店のショーケースや高級ホテルの鏡にも採用されている。2022年9月に創業90周年を迎えた同社。今年は100周年を見据えて2012年から進めている20年計画の、ちょうど折り返しに当たる。
掲げているのは3つの目標で、(1)圧倒的なブランド力の構築 (2)自社製品の開発と海外進出 (3)任せるに足る後継者の育成、に取り組んでいるそうだ。
(1)に関しては、この10年間で銀座に店舗を構えるようなハイブランドの宝飾店へのショーケースの納入など、内装・空間づくりに舵を切ったことで、その技術力のアピールに成功し、「ガラス加工、接着といえば西尾」といった相談も増えてきたと西尾社長は語る。
(2)は西尾の技術力を詰め込んだ自社ブランドのショーケース”DUAL”が大きな武器となり、展示会を通して、海外、特に香港や台湾からのお問い合わせを受けているそうだ。
目標達成へ向けて順調に歩を進めている西尾社長が、いま注力しているのが、
(3)の後継者育成に関連する、社員のリーダーシップ・オーナーシップをいかに育むか？だという。

同社では2020年に、本業の仕事とは別に、「生産性革新・健康経営・サンクスカード・BCP策定・SDGｓ」の5つのプロジェクトを立ち上げた。全社員がいずれかのプロジェクトに所属し、リーダーの選出から目標設定、達成に向けた実働まで、全てが社員の主導によって動いているという。健康経営プロジェクトチームでは、「健康経営優良法人の認定を1年で取得する」という目標を2021年に設定し、社内への積極的な働きかけを続けた結果「健康経営優良法人2022」の認定を取得。これは、ガラスメーカー業界として初めての認定だったという。

主体的に取り組む社員への想いを、西尾社長はこう語る。 「自分で考えて動く、研修だけでは得られないアウトプットの場に若手や女性の社員もワクワクして取り組んでくれている。他人にやらされるのではなく、改善の最前線に自分がいると面白いですよね。」

（2022年10月：紫垣寛／カウテレビジョン）